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今月の一冊アーカイブ



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王さまになった羊飼い
松瀬 七織/再話 イ ヨンギョン/絵 
福音館書店 2018.3 ISBN:4-8340-8344-6
チベットの昔話です。
貧しい羊飼いの男の子は、自分も空腹なのに、うさぎに食べ物を百日も分け続けました。うさぎは実は神様で、お礼に男の子に望みの宝物を授けるといいます。すると、男の子は、話し相手がいなくても寂しくないように、動物の言葉が分かるようにして欲しいと願うのです。
男の子は、動物の言葉が分かるようになったことで、色々なことに出くわします。その様子を見ていると、男の子の生来の優しさは、一見災いの元にも見えます。しかし最後には王さまとなり人々と動物とともに幸せになる、という結末には、昔の人々の人生や世の中に対する願いが込められているのかもしれません。
チベットの風景や風俗を色彩豊かに伝えてくれる絵が、お話の世界に厚みを持たせてくれています。
ほんとさいこうの日
レイン・スミス/作 青山 南/訳 BL出版 2017.4 ISBN:4-7764-0775-1
おひさまがぽかぽか。猫は花壇にねっころがり、犬はビニールプールで水遊び。シジュウカラは餌箱にいっぱい入れられた餌を食べ、 リスはトウモロコシにありつくことができました。暖かい春の日、それぞれが最高の日を過ごす中、大きなクマがやって来て…。  この本の作者レイン・スミスは、アメリカ、コネティカット州在住で、100年前に建てられ今は廃校になった校舎で、文章や絵をかいています。 ときどき、森からクマが現れて、窓のすぐ外にある巣箱をあさっていくそうです。そんな光景をよく見てクマに愛着をもっているからでしょうか、 絵本のクマの表情や動作はどこかコミカルで憎めない無邪気さにあふれています。  絵本を読みながら、春の景色と動物たちの「さいこうの日」を一緒に味わってみませんか?
のせ のせ せーの!
斉藤 倫/文 うきまる/文 ブロンズ新社 2022.4
ISBN: 4-89309-705-7
「のせ のせ せーの!」と唱え、ページをめくると、次々に不思議なことが起こります。
女の子の真っ白なワンピースに、野原に咲く花々がのって花柄に。
男の子の持つソフトクリームが蟹にのってヤドカリに。細かく描きこまれた絵の中で、意外なものが次々に生まれます。
ありえないけど、あったらいいな。そんな想像の扉を開いてくれる一冊です。
おばけのひっこし
さがら あつこ/文 沼野 正子/絵 福音館書店 1989.6 ISBN:4-8340-0878-9
昔、ある身分の高い男が、子どもがたくさんいたもので、住んでいる家が手狭になり、京の都に家を探しに行きました。理想の大きく立派な家をみつけたものの、そこにはお化けが出るという噂があったのです。しかし、そんなことはものともせず、さっそくその家で一夜を過ごそうとする男を脅かそうと、住み着いていたお化けたちは、次々と現れ出てくるのでした。
ふわふわと光るだけ、といった強そうではないお化けたちが、なんとかこの家に居続けたいという思いで男を驚かせる様子はいじらしく、読んでいると、お化けの側を応援してあげたくなりました。日本画風の筆遣いで描く愉快な場面の連続が、昔々の京の都に、こんな人間とお化けの珍騒動が本当にあったかもしれない、と楽しい想像を膨らませてくれる絵本です。
だごだごころころ
石黒 渼子/再話 梶山 俊夫/再話 梶山 俊夫/絵 福音館書店 1993.9 
ISBN:4-8340-1218-2
書名の「だご」とは、「だんご」のこと。ある日、山の畑のおじいさんに、「だご」を届けたおばあさんでしたが、その「だご」はころがって、川を越えて暗い穴の中へ入ってしまいました。「だご」を追いかけて穴へ入ったおばあさん。ところがそこには鬼たちがいて、おばあさんに「だご」を作れというのです。おばあさんは無事に家へ帰れるのでしょうか。
美味しい「だご」を食べて満腹になる鬼たちの表情などは、どこか間が抜けていて、おかしみがあります。日本の山河を舞台に、おおらかな線で描かれた人や鬼たちが、昔話の世界を楽しませてくれます。
しんせつなともだち
方 軼羣/作 君島 久子/訳 福音館書店 1987.1 ISBN: 4-8340-0132-6
雪がたくさん降ってとても寒い日。こうさぎが食べ物を探しに行くと、かぶが二つ落ちていました。一つだけ食べて、もう一つは、友達のろばの家にそっと置いてきました。ろばも食べ物がなくて困っていると思ったからです。さつまいもをひろって帰宅したろばは、かぶを見つけるとやぎの家へ・・・。
友達から友達へ、優しさとかぶが巡り巡るおはなしです。助け合いの気持ち、友達を思いやる気持ちに心があたたかくなります。寒い日におすすめです。印象的な水彩の絵も魅力的です。
モグのクリスマス
ジュディス・カー/作 三原 泉/訳 あすなろ書房 ISBN:4-7515-2507-4
ねこのモグは賢いとはいえませんが、トーマス家の大事な一員です。ある日、モグが昼寝から目を覚ますと、いつもと様子が違います。みんな忙しそうで、モグにかまってくれません。そのうちに、大きな木がやってきたのに気がつきます。実はそれはクリスマスツリーでしたが、何も知らないモグはびっくりして逃げ出してしまいます…。
「わすれんぼうのねこモグ」シリーズの2作目です。とても甘えん坊で、トーマス家の人々の手をやき、時には失敗もするモグですが、表情豊かで愛らしいところが憎めず、最後に暖かい気持ちになれる絵本です。
いたずらおばけ
イギリス民話 瀬田貞二/再話 福音館書店
分類:E 
ISBN:4-8340-8302-6 
マーク番号:17001728 タイトルコード:1000001553187
みなさんは、思いもかけないことが起こってがっかりしたり、落ち込んだりしたことはありませんか?
 むかし、あるところに貧しい一人暮らしながら、いつも朗らかに過ごしているおばあさんがいました。ある晩の帰り道、おばあさんは溝の中に金がぎっしり入った壺を見つけます。でも、実はそれはおばけのいたずらで…。
 意地悪ないたずらを仕掛けられても、くじけるどころか笑って受け入れるおばあさん。その前向きな姿が明るい絵柄を通して伝わってきます。すべてのページにおばあさんが描かれていますが、その表情を見ているだけで楽しめる一冊です。
ひゃくにんのおとうさん
コミセンわじろホームページ「今月の1冊」原稿
『ひゃくにんのおとうさん』こどものとも世界昔ばなしの旅
譚 小勇/文  天野 祐吉/文  福音館書店  2005.9 ISBN:4-8340-2123-8
むかし、むかし、中国の山奥にある小さな村に、貧しいけれどつつましく暮らす夫婦がいました。ある日、2人で畑を耕していると、土の中に大きな壺が埋まっているのを見つけます。どこにでもあるような壺ですが、なんと入れたものが100倍になる魔法の壺でした。夫婦はその壺で増えた鍋や笠を村人達に配ってあげます。しかし、そのうわさを聞きつけた強欲な地主は、夫婦から壺を無理やり取り上げます。ところが、壺の取り扱いを誤り、とんでもないことが起きてしまいます。
いったい何が起きるのかは読んでのお楽しみ。登場人物たちのコミカルな表情にご注目。最後のページを読み終えても、続きのページを探してしまいそうになる絵本です。
もりのてぶくろ
『もりのてぶくろ』(幼児絵本ふしぎなたねシリーズ)
八百板洋子 ぶん ナターリヤ・チャルーシナ え 福音館書店 2010.9
ISBN:4-8340-2580-4
黄色く色づいた葉っぱが一枚、森に落ちていました。まるで「てぶくろ」のような形です。森の動物たちが、葉っぱに手をあててみます。大きかったり、小さかったりして、なかなかぴったり合いません。しばらくたって、通りかかった男の子が手をあててみると・・・。静かで優しい、秋の森のおはなしです。絵本で秋を感じてください。写実的な動物の絵も魅力的です。
水は、
山下 大明/写真・文 福音館書店  2012.11 ISBN:4-8340-2756-3
空から降ってきた雨が、森や土に蓄えられ、やがて蒸気となって空へのぼり、また雨雲になる。
天地をめぐる「水」の営みが、山下大明さんの写真と文で綴られています。この本には少ない文章しかありません。しかし、言葉ひとつひとつの奥深さを、山下さんの写真が見事に表現しているように感じられます。
花や昆虫たちが水によって潤っている姿や、水そのものの造形の美しさに魅了されつつ、水の循環の広大さに心が揺さぶられます。
うみのあじ
たけがみ たえ/作 あかね書房  2019.7 ISBN:4-251-09926-6
犬の「べら」は飼い主の親子と初めて海へやってきました。海の中を知りたくて、海に顔を入れた「べら」でしたが、水の中で目が合った誰かに体をまきつかれてしまいます。「べら」はいったいどうなるのでしょうか。
「べら」が海の水をなめた時に感じた辛さや、海風の気持ちよさなど、五感でたっぷりと海を味わうことができます。躍動感が伝わる迫力のある絵に引き込まれます。
せんろはつづくにほんいっしゅう
『せんろはつづくにほんいっしゅう』
鈴木 まもる/文・絵 金の星社 2021.9 ISBN:4-323-02472-1
1872年に新橋と横浜の間に日本で初めての鉄道が開通して150年。今では500以上の路線が通うようになりました。かようなわけで地域によって路線と路線が入り混じりますが、新幹線、電車、貨物列車など日本全国の代表的な鉄道車両と路線を紹介しています。各地の名物や駅弁などのイラストもあり、見ているだけで日本一周した気分になれる絵本です。鉄道が大好きなお子さんや大人の方におすすめです。