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今月の一冊アーカイブ



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ひとりになったライオン
夏目 義一/文・絵 福音館書店
 ISBN:4-8340-8331-6 マーク番号:17020002
サバンナで暮らす若いライオンが、家族と離れて、ひとりで生きていくことになりました。まだ、ひとりで狩りも上手にできません。お腹が空いて途方にくれていると、シマウマの子どもを見つけました。草むらに隠れて見ていると、子どもの家族や仲間がたくさん集まってきて、子どもを見失ってしまいます。ひとりになったライオンの狩りは、うまくいくでしょうか。
強いはずのライオンのちょっと情けなくてユーモラスな表情を見ると、ついつい応援したくなります。動物画家の夏目義一さんの、動物たちの写実的で躍動感のある描写に圧倒されます。サバンナの青い空も印象的です。
おいしいものつくろう
岸田衿子/さく 白根美代子/え 福音館書店 2014.4
ISBN: 4-8340-8058-2  タイトルコード:1000001204513
あらいぐまの家の朝ごはんは、「ぱっくりドッグ」、うさぎの家は、「オムレツ・フラメンコ」。お昼は、みんなでお弁当を山で食べます。晩ごはんも、みんなでごはんを持ち寄って食べることになりました。ごろんごろんと転がして作るじゃことごまの「おむすびごろりん」や、果物がたっぷりはいった「かじゅえんゼリー」はとっても美味しそう。あらいぐまやうさぎが、歌うようなテンポで料理をする様に、思わず顔がほころびます。
優しいタッチの絵と細かく書き込まれた動物達の台詞、美味しいごはんを見るだけでも楽しめますが、レシピ通りに美味しいごはんを作ったら、もっと楽しいかもしれません。
小さなサンと天の竜
チェン ジャンホン/作・絵 平岡 敦/訳 徳間書店 東京 2016.6
ISBN:4-19-864182-5 タイトルコード:1000001483520
高い山に囲まれ、災害のせいで痩せてしまった谷間の地に、サンは生まれました。両親は、毎日険しい山を越え畑仕事に行かねばならず、身も心も疲弊しきっていました。「この山さえなければ…」そんな両親の言葉を毎日聞いていたサンは、幼いながら山を動かす決意をします。そして、次の日から毎日、山に登り、ツルハシで岩を砕き、村はずれに運び続けるのです。はたしてサンは山を動かすことができるのでしょうか。
サンの強い意志を宿した瞳や、絵本から飛び出して来るかのように描かれた三頭の白竜が物語に迫力をあたえています。
りゅうのめのなみだ
浜田廣介/作 太田大八/絵 ひさかたチャイルド 2007.3
ISBN:4-89325-677-5 タイトルコード:1000000004500
口は耳まで裂け、火のような真っ赤なものをを吐き、雷のような唸り声を出す。うっかり近づくと丸飲みにされてしまう。深い山奥に住む竜のことを、いつの間にかそう決めつけ、忌み嫌うようになった村人たち。しかし、一人のおとなしい男の子だけは違っていました。そして、自分の誕生会に竜を招待しようと山奥に入って行くのです。竜と出会った男の子は、そして竜はどうなるのでしょうか。
 絵本の中で、竜は流れるような描線と鮮やかな色彩で躍動感たっぷりに描かれています。また場面ごとに変わっていく竜の表情も魅力的です。
ピートのスケートレース 第二次世界大戦下のオランダで
ルイーズ・ボーデン/作 ニキ・ダリー/絵 福音館書店 2011.11
ISBN:4-8340-2667-2 タイトルコード:1000000846059
主人公ピートはオランダに住むスケート好きな少年で、将来の夢はオランダ最大のスケートレースに出場することでした。ある日、ピートは祖父から、知り合いの少女とその弟を、一緒にスケートで滑りながらベルギーの親戚のもとに送り届けるという重要な任務を任されました。
当時のオランダはドイツの占領下にあり、少女たちの父親はイギリスと無線で通信をした罪でドイツ兵に連行されたのです。家族にも危険が及ぶかもしれず、少女たちは早急に避難する必要がありました。幸い、スケートをすることは許されており、水路が凍りつくと、誰もがそこを滑っていました。厳しい寒さの中、道のりは長く、行く手にはドイツ兵が待ち構えています。命がけでスケートで駆けて行くピートたちの運命は…?
読んでいる間に、滑っているピートたちの緊迫感が伝わってきます。終盤まで息もつけない場面が続きますが、何度も難所をくぐりぬけるピートたちの勇気とスケートの力に心を打たれます。オランダの風土やスケートの歴史もわかる絵本です。
やぎとぎんのすず
八百板 洋子/文 小沢 良吉/絵 鈴木出版 2006.7 
 ISBN: 4-7902-5147-0  タイトルコード:1000610039238
お百姓さんに銀の鈴をつけてもらったヤギが、嬉しくて跳ね回っていると、茨(いばら)の茂みがありました。親切な茨(いばら)が、「ここはとおれないよ。わたしには、するどいとげがあるよ」と教えてくれました。けれどもヤギは、茨(いばら)の助言を聞かずに無理に通り抜けようとして、鈴を茂みに落としてしまいます。茨(いばら)に鈴をとられたと思って怒ったヤギは、のこぎりに、茨(いばら)を切るように頼みます。茨(いばら)は何も悪くないので、のこぎりが断ると、ヤギは火のところへ行って、のこぎりを燃やすように頼みますが・・・。
ヤギはその後も、次から次に仕返しをするように頼みますが、誰にも聞いてもらえません。自分が悪いとは露ほどにも思わずに、人のせいにしてばかりのヤギ。もう一度、大好きな鈴をつけることができるでしょうか。ラフな線と淡い水彩の絵が印象的な絵本です。
あおのじかん
イザベル・シムレール/文・絵 石津 ちひろ/訳 岩波書店 2016.6 
 ISBN: 4-00-111259-7  タイトルコード:1000001488859
日が沈み、夜がやってくるまでの時間は、「マジックアワー」、「ブルーアワー」と呼ばれています。そんな空が青に染まるひとときを、動物たちはどのように過ごしているのでしょうか。世界のあちこちの青に染まった風景と動物たちの姿が、細かく繊細な線で描かれています。アオカケスの鳴き声から始まり、徐々に夜の闇に包まれていく青のグラデーションの美しさに目を奪われます。
こんなにもいろいろな青があるのかと驚かされます。静謐で美しいフランスの絵本です。
とんでとんでサンフランシスコ
ドン・フリーマン/さく やました はるお/やく BL出版 2005.8 ISBN:4-7764-0135-5  タイトルコード:1000510042708
サンフランシスコのビルの屋上にある、アルファベットの「B」の形をした看板に、シッドとミッジという鳩のカップルが暮らしていました。他の鳩たちは「文字の中に巣をつくるなんて」とばかにするばかりでしたが、二羽は構わずに巣をつくり続けました。ところがある日、シッドが朝ごはんをついばみに行っている間に、「B」の看板が消えていました。ミッジも、巣の中の卵も…。シッドは必死に家族を探します。荒々しい嵐に遭い、道ばたの溝に落ち込み、心も落ち込んだ彼に救いの手が…。
家族を守ろうとする鳩、鳩をとりまく人々の心あたたまる物語です。舞台背景のサンフランシスコの大空、美しい街並みも印象的です。
おっとせいおんど
神沢 利子/文 あべ 弘士/絵 福音館書店 東京 1995.8 
ISBN:4-8340-1329-4 タイトルコード:1005010390454
2013年8月に行われた、和白図書館開館10周年記念のおはなし会で読まれた絵本です。
 夏が来て、北の島に集まってきた、おっとせいたち。赤ちゃんのおっとせいたちは、母親のおっぱいを飲んで大きくなり、泳ぎを覚え、やがて秋になると、群れと一緒に遠くの海を目指して旅立ちます。
 題名に「おんど」と入っているとおり、文章は歌詞のようです。夏から冬までのおっとせいの様子が、歌のような調子の良い言葉で語られています。海でのびやかに生き生きと過ごすおっとせいと、その周囲の生き物たちを、表情豊かにユーモラスに描いた絵が、文章と一緒になって、心地良さを作り出しています。
 巻末には、絵本の文章を歌詞にした楽譜もついています。その楽譜で歌いながらページをめくるのも良し、また、そうでなくても楽しく気持ちよく読み進められます。
ガンピーさんのふなあそび
ジョン・バーニンガム/さく みつよし なつや/やく ほるぷ出版 1978 
ISBN:4-593-50030-3タイトルコード:1005010025003
2003年8月9日に行われた、和白図書館の第1回目のおはなし会で読まれた絵本です。
 ガンピーさんは川のそばに住んでいて、ある日、自分の小舟に乗って出かけます。声をかけてきた子どもたちや動物たちが順々に乗り込み、ガンピーさんの舟はいっぱいに。さて、川を下っていきながら、舟の一同はいったいどうなるのでしょう。
 いっしょにいきたい、と子どもや動物たちが投げかけるたびに、いいとも、と答えるガンピーさん。そのやりとりの繰り返しがゆったりと耳にとても心地よく響きます。川の岸辺の草木の緑や、日差しのきらめき、そして川の水の気持ちよさを想像させてくれる軽やかなタッチの絵が、爽やかさを伝えてくれます。
王さまになった羊飼い
松瀬 七織/再話 イ ヨンギョン/絵 
福音館書店 2018.3 ISBN:4-8340-8344-6
チベットの昔話です。
貧しい羊飼いの男の子は、自分も空腹なのに、うさぎに食べ物を百日も分け続けました。うさぎは実は神様で、お礼に男の子に望みの宝物を授けるといいます。すると、男の子は、話し相手がいなくても寂しくないように、動物の言葉が分かるようにして欲しいと願うのです。
男の子は、動物の言葉が分かるようになったことで、色々なことに出くわします。その様子を見ていると、男の子の生来の優しさは、一見災いの元にも見えます。しかし最後には王さまとなり人々と動物とともに幸せになる、という結末には、昔の人々の人生や世の中に対する願いが込められているのかもしれません。
チベットの風景や風俗を色彩豊かに伝えてくれる絵が、お話の世界に厚みを持たせてくれています。
ほんとさいこうの日
レイン・スミス/作 青山 南/訳 BL出版 2017.4 ISBN:4-7764-0775-1
おひさまがぽかぽか。猫は花壇にねっころがり、犬はビニールプールで水遊び。シジュウカラは餌箱にいっぱい入れられた餌を食べ、 リスはトウモロコシにありつくことができました。暖かい春の日、それぞれが最高の日を過ごす中、大きなクマがやって来て…。  この本の作者レイン・スミスは、アメリカ、コネティカット州在住で、100年前に建てられ今は廃校になった校舎で、文章や絵をかいています。 ときどき、森からクマが現れて、窓のすぐ外にある巣箱をあさっていくそうです。そんな光景をよく見てクマに愛着をもっているからでしょうか、 絵本のクマの表情や動作はどこかコミカルで憎めない無邪気さにあふれています。  絵本を読みながら、春の景色と動物たちの「さいこうの日」を一緒に味わってみませんか?
のせ のせ せーの!
斉藤 倫/文 うきまる/文 ブロンズ新社 2022.4
ISBN: 4-89309-705-7
「のせ のせ せーの!」と唱え、ページをめくると、次々に不思議なことが起こります。
女の子の真っ白なワンピースに、野原に咲く花々がのって花柄に。
男の子の持つソフトクリームが蟹にのってヤドカリに。細かく描きこまれた絵の中で、意外なものが次々に生まれます。
ありえないけど、あったらいいな。そんな想像の扉を開いてくれる一冊です。