『ピートのスケートレース 第二次世界大戦下のオランダで』
主人公ピートはオランダに住むスケート好きな少年で、将来の夢はオランダ最大のスケートレースに出場することでした。ある日、ピートは祖父から、知り合いの少女とその弟を、一緒にスケートで滑りながらベルギーの親戚のもとに送り届けるという重要な任務を任されました。
当時のオランダはドイツの占領下にあり、少女たちの父親はイギリスと無線で通信をした罪でドイツ兵に連行されたのです。家族にも危険が及ぶかもしれず、少女たちは早急に避難する必要がありました。幸い、スケートをすることは許されており、水路が凍りつくと、誰もがそこを滑っていました。厳しい寒さの中、道のりは長く、行く手にはドイツ兵が待ち構えています。命がけでスケートで駆けて行くピートたちの運命は…?
読んでいる間に、滑っているピートたちの緊迫感が伝わってきます。終盤まで息もつけない場面が続きますが、何度も難所をくぐりぬけるピートたちの勇気とスケートの力に心を打たれます。オランダの風土やスケートの歴史もわかる絵本です。